穴八幡宮の由緒と歴史
穴八幡宮は、平安時代の武将・源義家が前九年の役(1051~1062年)を終えたのち、戦勝を感謝して創建したと伝わる神社です。創建からおよそ千年、新宿の地で人々を見守り続けてきました。
正面参道に立つ朱色の大鳥居は、早稲田通りと諏訪通りが交差する馬場下町交差点に位置し、足元をよく見ると石造りの亀が鳥居を支えているのが分かります。
正面参道を進み、鮮やかな朱色の華やかで荘厳な隋神門(ずいじんもん、別名:光寮門)をくぐると、目の前に重厚な雰囲気の拝殿が現れます。左右の柱の中には随神様が祀られています。
この隋神門は、江戸時代の境内整備計画に基づき嘉永2年(1849年)に竣工しましたが、昭和20年の空襲で消失。平成10年(1998年)に再建されました。その美しい姿に、復興にかけた人々の強い思いが伝わってくるようです。
実は、穴八幡宮というちょっと変わった名前には、次のような由来があると伝えられています。寛永18年(1641年)に社殿を造営していた際、横穴が出現し、中から金銅の阿弥陀如来像が発見されたことから、その名が付いたとされています。現在の社殿は、この横穴が発見された場所に建っているんですよ。
穴八幡宮と放生寺の関係
穴八幡宮の隣には、同じく長い歴史を持つ放生寺(ほうしょうじ)があります。かつては神仏習合により一体とされ、江戸時代までは神と仏を共に祀る神聖な空間でした。現在もその名残から、両方の寺社をあわせて参拝することで、より強いご利益を得られるといわれています。
参拝の際は、まず穴八幡宮をお参りし、次に放生寺を訪れるのが一般的です。ぜひ、両社を巡ってご利益を授りましょう!
こちらは正面参道鳥居の先にある石造りの鳥居。鳥居の脇には小さな公園があり、参拝の途中でひと息つくのにおすすめです。
また、早稲田通り沿いに立つ青銅製の鳥居は、日本で2番目の大きさを誇ります。貴重な青銅鋳物製の一体型鳥居として知られ、貫には菊の御紋と3羽の鳩がとまっています。訪れた際は、ぜひ見上げて迫力を体感してみてください。
ご利益で人気!一陽来復御守の貼り方とは?
穴八幡宮の名物「一陽来復御守(いちようらいふくおまもり)」は、特に金運アップを願う人々に絶大な人気を誇るお守りです。冬至から節分までの限られた期間しか手に入らないため、毎年多くの参拝客が訪れます。
一陽来復とは「悪い流れが終わり、良い方向に転じる」ことを意味し、陰陽五行思想に基づく強力な開運守りです。お祀りする際に重要なのは「冬至・大晦日・節分いずれかの夜中0時に恵方を向いて貼る」こと。リビングやオフィス入口など高い位置に貼るのが効果的です。
授与場所は境内の授与所。貼るタイプ(初穂料1,000円)と、懐中御守(400円)の2種類があります。毎年、早朝から夕方まで頒布されていますが時期によって時間が変更される可能性があるので、事前に公式SNSを確認すると良いでしょう。
- ご利益:金運や開運
- 授与期間:冬至から節分の間
- 授与場所:境内の授与所
- 種類/金額:一陽来復御守(貼るタイプ)1,000円、一陽来復懐中御守(財布に入れるタイプ)400円
- お祀りする日時:冬至・大晦日・節分の夜中0時
穴八幡宮の流鏑馬と年中行事
穴八幡宮では、毎年9月15日に行われる例大祭が最大のイベントです。なかでも流鏑馬(やぶさめ)は必見で、馬上から矢を放つ姿はまさに歴史絵巻!武士の技を現代に伝えるこの神事は、江戸時代から続く伝統行事で、観客からは毎年歓声が上がります。
また、毎月1日と15日に行われる月次祭では、神楽の奉納があり、地域の人々の心を静かに癒しています。
現在、近隣の高田馬場で行われる高田馬場流鏑馬も、元々は穴八幡宮に深く根ざした神事であり、毎年10月の第2月曜日に開催されます。
流鏑馬の取材レポートはこちらの記事をご覧ください!
◆【高田馬場流鏑馬】勇壮な伝統文化!迫力満点の馬上弓術を取材レポート
初めて参拝する方は、こちらで基本の作法をチェックしてから訪れるのがおすすめです。
◆神社参拝の作法を学ぼう!
新宿区にある神社の歴史や特徴についてはこちらから。
◆新宿区にある神社13選|歴史と文化を感じよう!
基本情報
神社名 | 穴八幡宮 |
住所 | 東京都新宿区西早稲田2-1-11 |
TEL | 03-3203-7212 |
アクセス | 東京メトロ東西線「早稲田駅」下車、3B出口より徒歩5分 |
開門、閉門時間 | 拝殿:6:00~17:00、幣殿:9:00~16:00、社務所:9:00~17:00、公衆トイレ:9:00~16:30(それ以外の時間は有料) |
※時間、お休みなどの情報は変更されている場合があるので、最新情報は直接確認してください。
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(文:鶴田智美)