刺激度が高い1980年代の新宿二丁目
新宿二丁目といえば、「仲通り」沿いに蕎麦屋、米屋、コンビニ、飲食店に入り混じって、LGBT向けのバーやマニアックな大人向けグッズを売るショップも混在し、なんとも不思議な光景が見られるのが、この街ならではの魅力です。
今でこそ、オシャレな店も増えたダイバーシティな街ですが、今から30年以上前、1980年代はどんな雰囲気だったと思いますか?
異性愛者の筆者ですが、学生の頃からよく飲み歩いた新宿二丁目を、LGBT目線からではなく一般女性の目線からお話ししようと思います。
バブル期の新宿二丁目はどんな雰囲気?
その前に、予備知識として新宿二丁目周辺の歴史をさくっとご紹介。
新宿二丁目の歴史移り変わり
江戸時代には、江戸四宿の一つ「内藤新宿」として旅籠が軒を並べ、そこに遊女を置く旅籠も多く、明治時代にも以後も色街として栄えました。1958年(昭和33年)に売春防止法の施行により、「赤線(旧遊廓)の街」としての新宿二丁目は幕を閉じ、その後、1960年代にゲイバーが集まりだし、世界屈指のゲイタウンへと変貌を遂げていきました。参考:新宿二丁目 – Wikipedia
昭和60年代の後半、新宿二丁目は今よりも淫靡で謎めいた雰囲気を醸し出しており、それがまた、普通の遊びに飽きたノンケ(ゲイではない人)には魅力的でした。
好奇心旺盛な筆者も、バブル期に六本木や麻布界隈で飲んだあと、深夜に友人たちとタクシーで〆の新宿二丁目に流れるのが週末の定番。
オカマちゃんのいる店は、ママやスタッフの話術がそうとうなもので、会話がとにかく楽しい!芸人さんと飲んでる感覚で楽しめます。
そして、「見た目は男性、心は乙女」のゲイの方のリアクションがカワイイ!
さらに、二丁目は若い女性が安心に飲める場所。それというのも、知り合うゲイの方々は男性が好きなので、バイ(両性愛者)の人以外は女性に性的な興味がありません。よって、しつこいナンパもなく、酔って口説かれる心配もないので存分に酔えます。
そのような理由から二丁目に通っていたしだいです。
当時のお店の特徴
ニューハーフのお店
当時の二丁目界隈で一般人が遊ぶとなると、ニューハーフのいる店でショーを見たり会話を楽しむのが一般的でした。
煌びやかなショーが楽しめる店は、ちょっと値段も張るため、遊び慣れた男性が若い女性を連れて行くケースが多く、ニューハーフと「キャーキャー」言いながら会話をする女性客、それを眺めて楽しむ連れの男性といったスタイルが多かったように思います。
観光向きの店はお金を払えば誰でも入店できましたが、小さなバーやスナックの中には、一見さんお断りの店もあり、たいていは友人知人に連れて行かれ、それから店に通い始めるというパターン。女性客ウエルカムな店は今と違ってかなり少なかったです。
女人禁制のバー
ママに気に入ってもらい女子禁制のとあるバーに出入りしてましたが、その店でよく見かけたのが、お金持ち風の中年男性と若いイケメンのカップル。
どうやってカップルになるかというと、「ウリ専」というバーがあり、そこに行くとお金を払えば若いイケメン君を店外に連れ出すことができるわけです。
その店で飲むときは私も友人もニューハーフのフリをしていました。
芸能人も多かった
二丁目界隈には有名女優や売れっ子女芸人さん、元清純派アイドルも飲み歩いていて、とあるスナックでたまにお見かけしました。昭和生まれなら誰もが知る方々。
会話が楽しいうえ、ママが気配り上手なので、芸能人の方も居心地が良いのでしょうね。
古くから営業を続ける老舗
新宿二丁目で1番古いディスコというかクラブのような店が「NEW SAZAE(ニューサザエ)」。ショットで飲めるバーの「キンズマン」「キングスウーマン」、閉店してますがレゲエクラブの「69」、週末は人でごった返しておりました。
天然とらふぐを提供する「御苑前 花膳」のあるビル2階のバー「キンズマン」。
「白い部屋」「コンドルモモエ」「ぎやまん」「かぼちゃーる」「パイガー」「ニュー富士」…名前を全部思い出せないけれど、色々な店をはしご酒。多くの店が20年以上経っても、いまだ健在です。
オナベバー
二丁目ではありませんが歌舞伎町のホストクラブ「クラブ愛」の近くに「マリリン」というオナベバーの老舗があったのですが、この店は見た目が男性の女子が働く店。男性ホルモンで髭も生えてるイケメンさんがいて、初めて行ったときは衝撃を受けたものです。
飲んだ後は、よくこの店で味噌ラーメンをいただきました。
路地裏にあるバーの店名もユニークです。
下ネタ炸裂の危ない店
そして、二丁目でもズバ抜けてぶっ飛んだショーのある「金〇霊園」という店が、仲通りをちょっと入ったビルの2階にありました(〇の部分には玉を付けてね)。
今では、二丁目界隈で遊ぶ若者も知らないであろう忘れ去られたショーパブ。この店の話をすると、オカマちゃん達は決まって顔をしかめるほど、えげつないショーをやっていました。
どんな店だったのかは、品位を疑われない程度にソフトに説明しますね。
店内には墓石やおばけの人形オブジェが置かれ、従業員はスーツ姿の若い二十代の男の子たちで、割とイケメンぞろい。席について普通の会話で接客をするのでホストクラブ?と思いきや、会話に中にちょくちょく下ネタと珍芸を入れてくるのです。
珍芸とは、ひと言でいいますと、男性のパーツを使って見せる芸とでも申しましょうか。
「ET!」「三色パン!」「ムササビ!」と叫びながら、手で引っ張ったり変形させ、それがまた似ているのです(汗)。
薄焼きせんべいを5枚くらい重ねてテーブルの上に置き、「瓦割りしますー!」と、上に持ち上げ「えい!」と割ったり。
その芸を顔を背けつつも指の間から覗いて苦笑する女性客。あのような過激なショーをやる店は、どこを探してもないのでは?
この店のことをネットで検索してみましたが、誰も書いてないので、私が記録として残しておきます。
世界に誇るダイバーシティ
新宿二丁目に集まる人は個性的な人が多く、話が面白いし話題が豊富な人が多い。ファッションやメイクにこだわりがあったり、男性とはいえ乙女心を持っているから、こちらは女友達と話すような安心感で会話が楽しめます。
筆者は、もう飲み屋さんには20年ほど足を踏み入れてませんが、偶然にも職場が二丁目の近く。たまにランチに行ったり、仕事帰りに通りがかったりしています。
新宿の開発とともに近年では、お洒落なバーやカフェ、レストラン、イベントスペースなども増えました。20年、30年前とは違いLGBTの方にとどまらず、女性も男性も、カップルや外国人も、この界隈で食事をしたり飲んでいる姿を見かけます。
オシャレなバーやカフェも増えLGBTの人でなくても楽しめます。
コロナ禍で一時ひっそりしていましたが、最近は少しづつ活気を取り戻しているように思います。
刺激チックでありながら、どこか昭和の香りもして、なんだか落ち着ける街。文化やカルチャーの発信地としても目が離せません。
誰をも受け入れてくれる懐の深さがあるダイバーシティな新宿二丁目、興味ある方は、ぜひ1度訪れてみてくださいね!
(文:松尾まみ)
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