毎年スポーツの日に開催!日本の伝統武術「流鏑馬」
2024年10月14日、戸山公園で行われた新宿区の指定無形民俗文化財「高田馬場流鏑馬」の取材に行ってきました。
流鏑馬(やぶさめ)とは、水干(すいかん)を身に着けた射手が馬に乗りながら、走行中に木製の三つの的を射っていく、馬術と弓術を組み合わせた伝統武術です。
古くから武士の訓練の一環として行われ、日本の伝統的な弓馬術と厄除けなど神事の意味合いがある儀式です。
穴八幡宮流鏑馬
高田馬場流鏑馬は、八代将軍徳川吉宗が各家に伝わる古書を調査し、久しく途絶えていた流鏑馬の儀式を復興させ、享保十三年(1728年)、世嗣の疱瘡平癒祈願のため穴八幡宮で流鏑馬を行ったのが始まりとされています。
元文三年(1738年)には、竹千代(のちの十代将軍家治公)の誕生を祝い興行が行われ、以降、厄除けおよび将軍家若君誕生の折は流鏑馬が奉納されるようになりました。
明治時代には一時中断されましたが昭和に入り復活、昭和54年からは会場を戸山公園箱根山地区に移し、保存会によって毎年スポーツの日に開催されています。
出番を待つ神馬(しんめ)たち
会場となるのは、戸山公園箱根山地区、じゃぶじゃぶ池付近です。会場で流鏑馬が始まるのは午後2時ですが、1時ごろに穴八幡宮の神社境内に行ってみると、すでに多くの人が集まっており、こちらで参加する神馬たちを見ることができました。
流鏑馬のお手伝いをする神事の衣装に身を包んだ子どもたち。ニンジンをあげていました。
この後、神馬たちは射手を乗せて一般道を行進します。
神社を慌てて出て、どの道を通るのか分からなかったので、箱根山地区の会場で情報収集。箱根通りを通って、1時40分ごろ大久保通りに先回り。
神社を出発した騎馬行列は、夏目通り、大久保通り、箱根山通りを通って、会場である戸山公園まで移動しました(※このルートがいつものルートなのかは定かではありません)。
戸山公園箱根山地区にて流鏑馬
騎馬行列の写真を撮って2時ごろ会場に戻ると、すでに馬の走る道沿いは人で埋め尽くされていました。
流鏑馬を間近で見たい場合は、早めに行って席を確保することをおすすめします。
射手が馬に乗ってスタート地点まで行進し、いよいよ始まります。
水干(すいかん)という伝統的な衣装を身に着けた射手たちは、約200メートルの馬場を走り抜けながら、3つの的に向かって矢を放つ姿はまさに勇壮な光景です。
蹄の音とともに的を射る音がズシッと響き渡り、歓声が上がります。3つとも的中させると、褒美として禄(ろく)と呼ばれる白い絹が渡されます。
馬に乗るだけでも大変なのに、射手は背中から矢を抜き、走りながら的を狙って放つ熟練した技を披露。
見物ポイント
1番的付近は、騎射前の馬や射手の様子、馬が勢いよく走り出し、射手が矢声(やごえ)を上げるときの空気感が良いです。
2番的付近は、馬が最も速いギャロップ状態なので馬上が安定し、的中の確率も高いと思われます。
3番的付近は、騎射後の馬と射手の様子を見ることができます。勢いつけて止まる前の的のためか外しやすいかもしれません。
勇壮で古式豊かな流鏑馬を目の当たりにし、その迫力に圧倒され、伝統文化を現代に受け継ぐ大切さを感じる一日となりました。
流鏑馬は無料で一般公開していますので、お近くの方は、ぜひ来年見学してはいかがですか。
【開催時間】14:00~15:30 ※13:30からは周辺道路で騎馬行列が行われます。
【会場】都立戸山公園箱根山地区(戸山3丁目)
東京メトロ東西線「早稲田」駅下車徒歩約8分、東京メトロ副都心線「西早稲田」駅下車徒歩約10分
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(写真・文 松尾)
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